研究課題/領域番号 |
21659020
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水口 裕之 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (50311387)
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研究分担者 |
川端 健二 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部・幹細胞制御プロジェクト, プロジェクトリーダー (50356234)
櫻井 文教 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (70370939)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2010年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2009年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | マイクロRNA / mirtron / ノックアウトマウス / ドーパミン / アドレナリン / 骨量 / 妊娠機能 / 分子生物学 / miRNA |
研究概要 |
本年度は、初年度に樹立に成功したmir-877、mir-1225ノックアウトマウスの解析を行った。当初予測された血管形成に関しては、新生仔網膜ならびに動脈の器官培養系などにおける血管新生能への関与を検討したところ、予想に反して異常のないことが判明した。一方、in silicoでのmir-877標的候補遺伝子の探索を行ったところ、いずれもノルアドレナリン・ドーパミン合成の制御に関わる転写因子PHOX2B、HAND2が挙がった。これを受け、sh877(mir-877)の強制発現実験を行ったところ、3'UTRを挿入したレポーター遺伝子の発現、内因性遺伝子の発現について、いずれにおいても抑制効果が確認された。さらに、新生仔の脳幹や成体の副腎において、Phox2bの発現がノックアウトマウスでは野生型に比べて上昇していることがタンパク質レベルで確認された。これらの知見より、Phox2bならびにHand2の発現制御を介して、中枢神経システムの構築や副腎髄質からのアドレナリン産生の調節に、mir-877が関わる可能性が明らかとなった。現在、中枢性ドーパミン、セロトニン神経の構築がどのような影響を受けているかについて組織学的解析を進めている。両神経系のバランスが行動・情動に及ぼす影響は重大であり、ヒトの精神疾患との関わりについて今後強い興味が持たれる。一方、中枢性の表現型の他に、ノックアウトマウスでは、アドレナリンの過剰産生によりもたらされたと説明できる骨量の低下が観察されている。また、Hand2は子宮上皮細胞の増殖制御により着床機能に深く関わることが最近明らかとなっており、このHand2の脱制御に基づくと説明できる妊娠機能の低下が、ノックアウトマウスの雌では観察されている。以上のように、本研究により、mir-877機能の意外な全体像が浮かび上がるとともに、mirtronを介した遺伝子調節システムの解明に大きく貢献する成果が挙げられた。
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