研究課題/領域番号 |
21659082
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
福田 亮 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50208972)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | NASH / HIF-1 / COX4-2 / 間欠性低酸素 |
研究概要 |
本年度の目的は肝臓特異的HIF-1のノックアウトマウスを間欠性低酸素状態にしてNASHの発症機序に於けるHIF-1の関与のin vivoでの検討であったが、実験動物の調達の面で遅れがありin vitroでの検討を進めることとした。先ず、脂肪酸による人工脂肪肝モデルでは酸素濃度が正常でも脂肪化に比例してROS産生が高まるが有意な細胞障害は起きないこと、この状態に間欠性低酸素が加わることで脂肪化細胞でのROS産生が有意に増加した。NASHの発症には脂肪肝をベースにして何らかの2ndヒットが必要であることか、低酸素が2ndヒットの一つであることを示唆するものとして重要である。次に、HIF-1の発現を低下させた状態では間欠性低酸素下でのROSの産生が低下すること、HIF-1誘導性のCOX4-2と競合するCOX4-1の発現を高める事で間欠性低酸素でのROS産生が低下することが判明した。このことはNASHの2ndヒットである低酸素による肝障害の機序にCOX4のサブユニットのバランスの変化が関与することを示唆する。特に正常酸素で機能するCOX4-1の発現増加が脂肪化細胞の間欠低酸素によるROSの産生を低下させることは、ミトコンドリアの電子伝達系の異常がNASHの発症と関連することを示唆している。COX4サブユニットのバランスはHIF-1によって制御されることから、NASHの2ndヒットに於けるHIF-1の関与はミトコンドリアの電子伝達系のバランスを障害することであると考えられる。脂肪化のみではCOX4のサブユニットのバランスは変化しないことから、NASHのベースである脂肪肝の発生自体にHIF-1がどの程度関与するかは今後の検討を要する。本研究は、NASHの発症機序には間欠性低酸素が重要であることを示唆するものであり、これは臨床上肥満などによる睡眠時無呼吸発作などがNASHの誘因になる可能性を示唆しており、脂肪肝患者における低酸素ストレスの予防、改善がNASHの発症を低下させる可能性を示す点で重要と思われる。
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