研究課題/領域番号 |
21659141
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西堀 正洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
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研究分担者 |
高橋 英夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60335627)
劉 克約 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2009年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 脳浮腫 / 血液脳関門 / アストログリア細胞 |
研究概要 |
ラット脳血管内皮細胞、血管周皮細胞、アストログリア細胞からなる試験管内血液-脳関門培養系を用いて、血管透過性に対するHMGB1の効果を検討した。この実験系において、脳側から、昆虫細胞Sf9を使って作製したヒスタグ付きヒト組換え体HMGB1を、1あるいは10・g/ml添加し、上下室間の電気抵抗の変化とエバンスブルー標識ウシ血清アルブミンの漏出を測定したところ、組換え体HMGB1は、濃度依存的に血管透過性を亢進させた。HMGB1のC末端配列を認識する単クローン抗体で予め組換え体HMGB1を処理すると、HMGB1の血管透過性亢進は抑制された。このとき、それぞれの細胞層の構造変化を観察したところ、血管内皮細胞と周皮細胞に収縮性の変化が認められ、細胞間隙の形成が生じていた。一方、底面のアストログリアには著明な形態変化は認められなかった。以上の結果から、in vivoで観察されたHMGB1による脳血管の透過性亢進は、HMGB1が脳血管内皮細胞と周皮細胞に直接作用した結果であることが強く示唆された。脳梗塞とならび脳血管の透過性が亢進し脳浮腫を招来する病態として、脳外傷を挙げることができる。そこで、ラットにfluid percussionによる脳外傷を作成し、受傷局所におけるHMGB1局在の変化を調べた。Percussion injury局所の大脳皮質錐体神経細胞では、脳虚血部位で観察されたのと同様のHMGB1細胞内局在のトランスロケーションが観察された。つまり、正常脳部位では神経細胞核内に局在していたHMGB1が受傷部位では細胞質内に拡散している像や、細胞質内で顆粒状に集積している像が観察された。以上の結果から、脳外傷時には脳虚血と類似するHMGB1トランスロケーションの存在が明らかとなった。今後、動員されたHMGB1による脳血管透過性亢進について検討する必要がある。
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