研究概要 |
申請者らはヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を恒常的にマウス肺に発現させるため,2型肺胞上皮で特異的に作動するSPCプロモーターを使用し,二系統のEGFR遺伝子改変マウス(ヒトEGFR exon 21 L858R,マウスEGFR exon 19 del E748-A752)を樹立し,これらのマウスが前癌病変(異型性腺腫様過形成)を経て浸潤性腺癌を形成し癌死することを報告している。再再度ヒトEGFR del E746-A750導入遺伝子改変マウスの作製を試みたが残念ながら失敗しているため,EGFRチロシンリン酸化酵素阻害薬(TKI)ゲフィチニブの至適投与法を検討実験は,15-6週で癌死するマウスEGFR exon 19 del E748-A752遺伝子改変マウスを使用した。先行実験としてドセタキセル:DOC(15mg/kg),ジェムサイタビン:GEM(100 mg/kg)を週2回,4週間腹腔内投与し,腫瘍抑制効果,生存期間を検討し,11週でDOC群に良好な抗腫瘍効果が認められ,生存期間もDOC群(20w,24w,25w,27w)GEM群(18w,20w)であり,DOCをゲフィチニブとの異時性併用実験に使用した。EGFR遺伝子改変マウスを5匹ずつ5群に分けた。A群 無治療群:B群 ゲフィチニブ持続投与群(6週令よりゲフィチニブ5 mg/kg連日経口投与):C群 DOC単独投与:D群 DOC⇒ゲフィチニブ投与群:E群 ゲフィチニブ⇒DOC投与群を腫瘍死まで観察した。生存期間中央値はA群19w:B群 35w:C群 18w:D群 30w:E群 29wであった。現時点では,抗癌剤の毒性発現のためDOC併用群で期待された生存期間延長効果が得られず,ゲフィチニブ5mg/kg連日経口投与群が最も優れた生存期間を示した。
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