研究概要 |
我々は従来の研究において、放射線治療後に進展・転移をきたした症例のゲノム解析を行い、TTK (T cell tyrosine kinase)/hMps1 (human monopolar spindle 1 kinase)遺伝子を抽出した。本研究では、放射線抵抗性子宮頸癌におけるTTK/hMps1遺伝子の役割を明らかにするために、臨床サンプルを用いて、TTK/hMps1遺伝子と癌抑制遺伝子p53に関連する蛋白との関係をリン酸化に注目して検討した。タンパク質のリン酸化状態を比べるためにp53 Signaling Phospho-Specific Antibody Arrayを用いて、リン酸化micro array intensityデータと非リン酸化micro array intensityデータのそれぞれ37蛋白、合計74蛋白について単変量の比較検定を実施した。74種類のarray intensityを放射線治療予後良好群4例、不良群4例についてTTK/hMps1との関係をt検定を用いて比較した。有意水準20%水準で観察するとp53 (Phospho-Ser9), p53 (Phospho-Ser33), p53 (Phospho-Ser46), Chk1 (Phospho-Ser345), c-Abl (Phospho-Tyr412), p27Kip1 (Phospho-Ser10), p27Kip1 (Phospho-Thr187), BRCA1 (Phospho-Ser1423), CDC2 (Phospho-Tyr15), Myc (Ab-58), Chk2 (Ab-516), SMC1 (Ab-957), BRCA1 (Ab-1423)の変数がピックアップされた。しかし、有意水準5%以下では統計学的に有意な差のある蛋白を同定するには至らなかった。
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