研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究計画では、卵巣癌の骨髄由来間葉系幹細胞の役割の解析、卵巣腫瘍における間質の重要性をホルモン産生能から解析すること、を目的とした。卵巣癌の腹水中には、マクロファージなどの骨髄由来細胞が豊富に存在し、癌の浸潤、増殖に寄与している可能性が考えられる。よって、間葉系幹細胞の機能解析として、マクロファージに焦点をあてて研究した。まず、患者腹水中に存在する骨髄由来細胞をCD11b陽性細胞として分離培養した。CD11b陽性細胞と卵巣細胞株SKOV3ip1との共培養実験を行ったところ、卵巣癌細胞株の増殖能・浸潤能は有意に増加した。続いて、IL-6に注目して、そのメカニズムを解析した。3種のCD11b陽性細胞全てで、IL-6の強発現が確認された。一方、SKOV3ip1にはIL-6受容体は発現しているものの、IL-6の発現は認めなかった。そこで、抗ヒトIL-6受容体抗体(Tocilizumab)を、上記共培養に添加したところ、卵巣癌細胞の浸潤能と腫瘍増性能が抑制されることをin vivo,in vitroで確認した。以上、卵巣癌患者腹水中の骨髄由来細胞(CD11b陽性細胞)は、IL-6の産生を通じて卵巣癌の浸潤能、増殖能を更新させることを解明した。大きな間質を有する卵巣腫瘍では、患者血中エストロゲン濃度が高いことに興味を持って研究してきた。80例の閉経後卵巣腫瘍患者の約40%で末梢血のエストロゲン、あるいは、テストステロン濃度の上昇、腫瘍摘出後の減少を確認した。これらの腫瘍で性ステロイドホルモンが産生されていると考えられるが、大部分は上皮性腫瘍(粘液性腫瘍が最多)であった。今後、卵巣腫瘍で産生される性ステロイド(アンドロゲンおよびエストロゲン)がどのような意義を持つのかについて解析を進める予定である。
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