研究課題
挑戦的萌芽研究
小児網膜芽細胞腫の患者から摘出された眼球から、分化能を有する神経前駆細胞を含む細胞集団を単離後、浮遊状態でこれら多分化能を有する細胞を増やし(neurosphere法)、その後、これまでに蓄積したニワトリやマウス研究からの知見や技術を応用して、ヒト網膜を構成する複数種類の神経細胞へ分化誘導することを目的し、以下の実験を行った。本研究の特色は、モデル生物を用いた研究成果に基盤をおきながら、臨床から得られるヒト組織を用いて研究を展開する点にある。1)neurosphere法でヒト細胞が増殖するか否かの検討:ヒト眼球由来虹彩細胞、網膜グリア細胞、毛様体上皮細胞などは、neurosphere法で数ヶ月間、培養を維持することが可能であった。Sphereの免疫染色では、神経幹細胞マーカーの発現がみられた。2)Pax6遺伝子による効果:ヒト眼球由来虹彩細胞にPax6遺伝子を導入すると、神経系マーカーの発現が上昇し(RT-PCR),さらに継代することによって、自己複製能と神経分化能を持った神経前駆細胞様の細胞が得られた。また、Pax6遺伝子の導入によって視細胞マーカーの発現上昇を促進した。3)bFGFなど液性因子や転写因子の遺伝子導入の効果:ヒト眼球由来の種々の細胞をhanging drop法によってsphereを作成後にB27とbFGFを含む培養液で数週間培養することによって、神経誘導が可能であった。また、虹彩細胞、網膜グリア細胞、毛様体上皮細胞から網膜視細胞が分化誘導されたが、bFGFなどの液性因子に加え、複数の網膜関連遺伝子の導入が必要であることが示唆された。そこで、網膜分化を決定する転写因子遺伝子群に属する多数の遺伝子を作成、エントリーベクターに組み込み、ウィルスベクターを作成。これらをヒト小児眼球由来細胞に導入し、目的とする網膜細胞を作成した(direct reprogramming)。4)分化誘導された網膜細胞の機能評価をカルシウムイメージングによって行った。以上から、ヒト網膜神経細胞への分化誘導に必要な因子は、モデル生物を用いた研究成果から推測されるものとほぼ一致することがわかった。
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