研究課題/領域番号 |
21659404
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金子 道夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60152807)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2009年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 腫瘍幹細胞 / 神経芽腫 / CPT-11 / celecoxib / ヌードマウス移植腫瘍 / 小児悪性固形腫瘍 / 横紋筋肉腫 |
研究概要 |
筑波大学小児外科で樹立した3系統のヌードマウス移植ヒト神経芽腫に対する、CPT-11と、臨床的に妥当な低用量(5mg/kg/dose)非ステロイド系COX-2阻害剤celecoxibの20日間連日投与実験の結果、celecoxib単剤では全く抗腫瘍効果がなかったが、CPT-11+celecoxibの併用・連日投与は3系統全てでトポイソメラーゼI阻害性抗がん剤CPT-11単剤の場合をはるかに凌ぐ相乗的な腫瘍増殖阻害作用を示した。 併用投与により腫瘍細胞のさらなる増殖阻害、VEGFの発現抑制、および、ミトコンドリアを介したアポトーシス経路の活性化が認められた。また、3系統のヌードマウス移植腫瘍のうち2系統のCOX-2発現レベルは低く、併用による腫瘍増殖抑制作用の増強はCOX-2に依存しないと考えられた。 1.以上から、CPT-11+celecoxibの長期併用投与は腫瘍の血管新生抑制をさらに増強する可能性があると思われた。そこで、2系統のヌードマウス移植ヒト神経芽腫に対し、CPT-11の1回投与量を1/2に下げてcelecoxibと60日間連日併用投与する実験を行った。その結果、抗がん剤高感受性の1系統では調べた6腫瘍中5腫瘍で全く再増殖を認めなかった。一方、CPT-11単剤投与では、腫瘍は全て治療終了後速やかに再増殖した。併用投与により、より強いVEGFの発現抑制および腫瘍細胞のアポトーシス亢進が見られた。多剤耐性の1系統では、併用投与で6腫瘍中2腫瘍が治癒した。実験を通じてマウスの死亡はなかった。 2.消炎・鎮痛剤であるcelecoxibを、誰も試みていない低用量で、低用量CPT-11と頻回併用投与すると、より低い副作用で腫瘍幹細胞をも死滅させ、小児悪性固形腫瘍症例を治癒しうる可能性が出てきた。併用による腫瘍増殖抑制作用の増強メカニズムは未だ解明されていないが、今後はCPT-11との相乗抗腫瘍効果が期待される抗がん剤を組み合わせて、最適な抗血管新生療法+化学療法を確立する必要がある。
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