研究課題
挑戦的萌芽研究
近年の骨生物学の飛躍的進歩により、骨格が骨外組織の機能を制御する内分泌器官であることが示唆されている。我々は、骨格で産生され、骨格のみならず生体全体の機能を制御する因子をOsteocrine factor、その制御機構をOsteocrine Systemという新しい概念で捉えることを提唱している。本研究では、骨再生過程で産生されるOsteocrine factorを同定することを目的とする。その成果により、内分泌器官としての骨格の理解をさらに深めることができる。本研究では、8週齢のC57BL6マウスの頭蓋骨に直径1mmの円形骨欠損を作成し、骨再生1,2,3週後に骨再生部と周囲2mmを含む組織を歯科用ダイアモンドディスクで無菌的に切断し、これらの組織を器官培養し、in vitroでも骨再生が起こっていることを確認した。また、これらの培養上清をMI3T3-E1細胞に添加し、細胞増殖に与える作用を検討し、わずかな細胞増殖作を認した。また、培養上清を添加したMI3T3-E1細胞のアルカリフォスファターゼ活性の上昇作用も確認できたので、本実験系により骨再生過程におけるautocrine的な骨芽細胞刺激因子が産生されていることが示唆された。また、骨組織特異的な遺伝子改変マウスを用いて骨細胞が産生するOsteocrine factorであるFGF23の発現を制御すると思われる遺伝子を同定し、現在、さらに検討中である。
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