研究概要 |
本年度は,呼気捕集システムとGC-MSを組み合わせたガスクロマトグラフィによりヒト呼気中に含まれるにおい物質を明らかにし.口腔保健因子,ライフスタイル因子および全身疾患因子や電子嗅覚装置を用いて分類された口臭症との関連性を明らかにするとともに,治療の予後に関連する因子の探索を試みた。 重回帰分析による解析の結果,官能スコアは,硫化水素,メチルメルカプタン,硫化ジメチル,インドールおよびフェノールから有意の寄与を受けていた。また,メチルメルカプタン,スカトール,フェノールおよびプロピオン酸は口腔保健因子と有意の関連を示し,.硫化水素,インドール,ノルマル酪酸およびノルマル吉草酸は口腔保健因子および全身疾患因子と有意の関連を示した。アセトアルデヒドは飲酒量とのみ有意の強い関連を示し,プロピオンアルデヒド,アセトンおよび酢酸エチルは糖尿病の既往と有意の関連を示した。 次に,電子嗅覚装置により4群に分類された。クラスターとにおい物質の関連を調べた結果,硫化水素,メチルメルカブタンおよびプロピオン酸はクラスター1において,クラスター2,3,4よりも有意に高い値を示した。硫化ジメチルはクラスター1においてクラスター3よりも有意に高い値を示した。アセトアルデヒドはクラスター2においてクラスター3よりも有意に高い値を示した。ノルマルブチルアルデヒドはクラスター1においてクラスター2,4よりも有意に高い値を示した。ノルマルバレルアルデヒドはクラスター2においてクラスター1,4よりも有意に高い値を示した。また,クラスターと口腔保健因子との関連では,歯周病有病歯率はクラスター1においてクラスター2,3,4よりも有意に高い値を示した。舌苔スコアはクラスター1,2においてクラスター3,4よりも有意に高い値を示した。また,プラーク指数はクラスター1,3においてクラスター2,4よりも有意に高い値を示した。
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