研究概要 |
本研究は、家庭環境下での乳児の睡眠実態を観察・録画すること、そして、撮影や画像処理技術を工夫・検討し、ビデオソムノグラフィによる睡眠の自動判定システムの開発を目的としている。下記の2段階で研究を行った。第1段階として、データ収集方法、録画方法の確立、第2段階として、データ分析方法の確立である。 本年度は、データ分析方法として、画像フレーム間の画像差分分析をもとにアルゴリズムを作成した。画像差分に、フィルタ処理(ローパスフィルタ)や頻度解析(ノイズ処理)を適用し、睡眠状態を自動分析するソフトを作成した。これを実用するために、前年度に作成したハードシステムを用いて乳児の睡眠状態を録画し、分析ソフトを用いで自動判定を試行した。 ハードシステムは、digital camera(Watec WAT-902B, SIN=ELA W82E22812), Vari-zoom-lenses(fujinon Dv5x33.6R4B-2),near infrared LED(Light Emitting Diode), Image Recording Tool(NoruPro light systems.640×480Pixel, 10fps, monochrome)を用いて録画収録を行った。対象は、正期産、母乳哺育、男児(生後2か月)、2夜連続で撮影した。結果、収録した計1220分の録画内容を分析した。これまで行っていた訓練を受けた観察者の分析と今回得られた自動判定分析結果と比較した。一致率は、quiet sleep静睡眠0.69-0.81、active sleep動睡眠0.55-0.62、awake覚醒0.50-0.92であった。判定精度には、検討の余地があるが、今回作成した自動判定アルゴリズムによって、乳児の睡眠状態をビデオ画像から自動判定の可能性があることが確認できた。今後、より判定精度を向上させるような、撮影条件、ロバストな解析方法を開発していく必要がある。 本研究結果を他の小児睡眠研究者と交流し意見の交換を行うために、International Pediatric Sleep Association Joint meeting with Pediatric Sleep Medicine Conference(学会)に参加した。Dr.Mindellらに新システムを紹介し、実用性への示唆を得た。
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