研究課題
若手研究(S)
われわれは消化器癌の転移・再発のマーカーを明らかするには循環血液あるいは骨髄液中に癌細胞を検出することを目的とするのではなく、癌細胞側因子と宿主側の環境因子とにおいて転移再発と明確な関連を有する遺伝子を明らかにしたい。両面からの俯瞰的研究により転移再発機構を解明し、真の予測マーカーを求める。特に多くの遺伝子を一度に抑制しうるファインチューナーとしての役割を担うmicroRNAは、その発現の臨床的意義が注目されており、microRNA-遺伝子pathwayの同定と機能解析が急がれる。われわれは多施設共同研究を組み、各施設毎に倫理委員会を通過した後、消化器癌患者の骨髄と末梢血液の集積を開始した。骨髄は4つの分画(癌細胞分画、マクロファージ分画、血管内皮細胞豊富分画、全血)に分けて、microRNAマイクロアレイを施行する。転移陽性症例特異的miRについてはマーカーとしての意義を明らかにすることはもちろんのこと、標的遺伝子pathwayを決め、機能解析をすすめさらに絞り込めるマーカーを求める。<大腸癌症例>これまでに29例の症例に対して骨髄穿刺、末梢血採取を行った。Trainingセット:LMDによる原発巣癌細胞のmiRアレイ20症例,遺伝子アレイ20例。転移巣癌細胞のmiRアレイ7例遺伝子アレイ7例。骨髄をsortingして解析した結果、ITC分画miRアレイ20例、遺伝子アレイ20例。CD14分画のmiRアレイ7例、CD45分画7例、全骨髄液7例Validationセット:miRアレイ骨髄癌細胞15例、CD14分画15例、CD45分画15例の集積を終えている。<胃癌症例>すべてmiRアレイのみ実施している。LMDおよびマイクロアレイ解析により原発巣癌細胞6例、転移巣癌細胞10例、骨髄癌細胞分画10例、CD14分画10例、CD45分画10例、全骨髄液10例)。<肝臓癌症例>15例の肝臓癌症例について骨髄を4分画に分けてそれぞれのmicroRNA profileを有する。このうち10例については原発巣癌細胞のmiRアレイprofileを有している。以上の発現profileを用いて、GSEA解析等を実施し結果を求める。その成果は臨床的バイオマーカーとしての意義、あるいは転移再発機構研究の端緒となることが期待される。
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