配分額 *注記 |
24,700千円 (直接経費: 19,000千円、間接経費: 5,700千円)
2011年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2010年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2009年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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研究概要 |
前年度の成果をさらに発展させ,実際に半透明物体の3次元形状推定に取り組んだ.我々の身の回りには,白濁したプラスチックなど,物体表面に入射した光が内部で強く散乱する半透明な物体が多く存在する.このような物体の形状計測は難しく,今まで,散乱光はノイズのように邪魔なものとして扱われてきたが,本研究では,逆に散乱光を手がかりとした新しい形状計測法を開発した. 半透明な物体に光を当てると,物体内部で光が散乱する.まず,昨年度に開発した散乱成分の分離法を用いて,単一散乱成分と多重散乱成分に分離した.ここで,単一散乱は,入射光が物体中で一度だけ粒子と衝突することによって生じる現象であり,光源からカメラに至るまでの光路や,光路長に応じた減衰の解析が比較的容易である.そこで,単一散乱成分に,光の減衰モデルを当てはめることで形状を推定する方法を明らかにした.さらに,媒体の散乱特性と推定形状には曖昧性が生じるが,入射位置をずらして複数回計測することで,曖昧性が解決できることを明らかにした.実際に,白濁した半透明なプラスチックを対象として,3次元形状を推定する実験を行い,単一散乱が物体形状を推定するための手がかりとして有用であることを確認した.また,近赤外光を用いることで,人体内部における散乱光も解析できることを実験的に確かめた。 以上のように,半透明物体を撮影した画像から形状や散乱パラメータを推定するという,インバースレンダリングの基本的な原理を確認した.
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