配分額 *注記 |
27,560千円 (直接経費: 21,200千円、間接経費: 6,360千円)
2011年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2010年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2009年度: 17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
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研究概要 |
平成22年度は,電子-格子相互作用の強さを決めるパラメータである「変形ポテンシャル」の半導体サイズ依存性を取得する手法の確立を行った。はじめに,昨年度までに作製技術を確立した多端子を有するナノ薄膜SOIトランジスタを用いて,高電界下における電子温度のSOI膜厚依存性を調べた。高電界下において,電子は電界からエネルギーを得て,その一部を格子に放出する。電子は電界からエネルギーを得た結果,格子よりも高い温度(電子温度)となるが,その温度は,格子温度と電子-格子の相互作用の強さによって決まる(格子へのエネルギー散逸と電界からのエネルギー獲得がバランスするところで電子温度が決まる)。逆に,電子温度を測定することができれば,既知の格子温度と併せて高電界下における電子-格子の相互作用の強さを求めることができる。ナノ半導体における電子-格子の相互作用の強さを求めることができれば,ナノ半導体中の非平衡伝導電子輸送の理解深耕につながる重要なデータとなる。電子温度の測定は,Shubnikov-de Haas振動(SdH振動)の振幅を利用した。はじめに,電界が弱い極限,すなわち電子温度と格子温度が釣り合っている状況下で,SdH振動の振幅の温度依存性(電子温度依存性)を求める。その後,基準格子温度(T=4K)において電界を増加させSdH振動の振幅が小さくなる様子を観測した。これらのデータにより,SdH振幅を媒介変数として,電界と温度の関係を求めることに成功した。得られた結果の詳細な解析は次年度以降に実施する予定だが,電界が比較的低い時には,SOI膜厚が薄いほど電子温度が低くなる傾向が得られた。このことは,SOI膜厚が薄いほど,電子-格子の相互作用が強いことを示しており,ナノ半導体の電子輸送理解にとって新たな展開を示す重要な結果である。
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