研究課題
若手研究(A)
本研究では、生活習慣の異なるアジア・太平洋地域の人類集団について、血清脂質量と関連する遺伝子多型・変異を調査し、その人類生物学的意義を探った。その結果、1)脂肪酸不飽和化酵素遺伝子の多型が血中脂質量に及ぼす効果が、モンゴル人と日本人で劇的に異なっており、これが食事中の不飽和脂肪酸組成の差異に起因する可能性を見出した。2)高脂血症抵抗性多型であるMLXIPL遺伝子のGln241His多型が、中央アジアの遊牧民族を起源とする幾つかの人類集団で高い頻度で存在しており、脂質がエネルギー源として優勢な遊牧生活において、同多型が適応的であることを示した。3)各種リポタンパク質受容体としてはたらくスカベンジャー受容体ファミリー遺伝子の再塩基配列決定を通して、タイ人では東アジア人・オセアニア人と比して多型・変異サイトが豊富に存在していることが明らかになった。これにより、マラリア抵抗性と脂質代謝との関連性についての新たな知見を加えた。4)さらに、血清脂質を標的とした関連解析では、性別や年齢に加えて内臓脂肪蓄積の程度を一致させた集団を用いることで、遺伝子多型・変異を効率よく検出できることを示した。
すべて 2010 2009
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