研究課題
若手研究(A)
細胞膜脂質ホスファチジルイノシトールのイノシトール環は、その3、4、5位水酸基に可逆的なリン酸化を受ける。その結果、PIsと総称される8種類のリン脂質が生成される。哺乳類には50以上のPIs代謝酵素が存在するが、そのほとんどの生理機能は未だ不明である。本研究では、一リン酸型のPIsの細胞内レベル調節に関わる酵素に着目している。今年度は、ホスファチジルイノシトール3リン酸をリン酸化して、ホスファチジルイノシトール3,5-二リン酸へと変換するホスファチジルイノシトールリン酸キナーゼtype III(PIPKIII)の生理機能について研究の進展があったので報告する。PIPKIII遺伝子欠損マウスは着床後3日以内に全例が死亡するので、Cre-loxPシステムを利用した条件付き遺伝子欠損マウスを用いて解析を行った。消化管でこの遺伝子を欠損させると、下痢、血便、成長障害が認められた。マウス胚性幹細胞を放射標識イノシトールでメタボリックラベルして、高速液体クロマトグラフィーでイノシトールリン脂質レベルを解析したところ、PIPKIII遺伝子の欠損によってPIPKIIIの基質であるホスファチジルイノシトール3リン酸の蓄積が確認された。ホスファチジルイノシトール3リン酸生成酵素の消化管における機能解析結果と照合して、この脂質が働くメカニズムを詳細に解明する予定である。なお、研究費の重複受給制限のため、本研究は22年度をもって終了することとなった。
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http://www.med.akita-u.ac.jp/~bisei/