研究課題
若手研究(B)
海馬の記憶容量を飽和させることにより、新規の記憶情報の獲得を阻害できるかどうかを検討するため、脳への連続的電気痙攣刺激によりシナプス可塑性の容量を飽和させ、学習記憶試験を実施し、シナプス飽和レベルと記憶獲得レベルの程度を比較検討した。ラットの脳に連続的に痙攣誘発性電気刺激(MECS)を行い、その後、麻酔下において、EC-DG間のシナプスにおいてLTPが生じるかどうかを検討した。コントロール群である非処置群では、高頻度刺激を行うことで、有意にシナプス応答の増強が確認された。しかし、MECS群においては、高頻度刺激を行ってもほとんどシナプス応答の増強が確認されず、これ以上高頻度刺激によりシナプス応答が増加することはなかった。更に、海馬シナプス可塑性を飽和させることにより、海馬依存的な学習課題において記憶獲得障害が起きるかどうかを検討した。ラットに1日1回のMECS処置を5日間連続して行い、その2日後に学習させ、24時間後、想起試験を実施した。想起試験実施後、ラットは、個々の動物のシナプス可塑性の飽和程度を測定するため、海馬LTP実験をそれぞれ実施し、シナプス飽和程度と学習到達度の相関関係を解析した。実験の結果、コントロール群は、LTPの誘導率、学習成績、共に通常の野生型群で得られるデータエリア内にデータはプロットされた。一方、MECS処置群では、LTPの誘導率、学習成績が共に低い値を示し、海馬シナプス可塑性の飽和の程度と海馬依存的な課題の学習成績には、相関関係にあることが明らかとなった。
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Molecular Brain
巻: 3/13
Cell 139
ページ: 814-827
http://www.med.u-toyama.ac.jp/bmb/index-j.html