研究概要 |
帯状疱疹痛および帯状疱疹後神経痛は難治性の神経因性疼痛疾患である。疼痛のメカニズムは未だ不明であり,また既存の鎮痛薬に抵抗性を示すため,新規鎮痛薬の開発が急務となっている。申請者はこれまでの研究で,当該疾患の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスのタンパクIE62に対する免疫応答が,BDNFの生物活性を上昇すること,末梢神経損傷モデルマウスの疼痛反応を増強することを見出した。本研究の成果より,帯状疱疹痛モデルマウスの疼痛反応をIE62抗体が増強すること,帯状疱疹後神経痛への移行率を増大させることを明らかにした。また,網羅的遺伝子発現解析の結果,Galectin-3の遺伝子発現が脊髄後角において増大し,この分子が疼痛に密接にかかわっていることを明らかにした。しかしながら,抗IE62抗体による痛覚増強機序にはGalectin-3が関与していないことが明らかとなった。
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