研究概要 |
平成22年度は,小型のリコンフィギュラブル微小流路とその制御系(平成21年度に作成)を用いて以下の実験を行い,当該流路の有用性を検証した. 1 バルブ・ポンプ性能の検証 製作した流路により,完全に液を遮断でき,さらに蠕動ポンプと同様の原理で送流が可能であるかどうかを検証した.その結果,ピンの変位による微小流体の遮断(バルブ)は,流れの漏れは起こさない程度に可能であることがわかった.また,色素で標識した高粘度のハイドロゲルを蠕動運動により送流(ポンプ)する方式で流れを評価した結果,流路の壁面の変位が忠実に流れに変換されていることが確認された. 2 細胞懸濁液の濃縮実験 薄い懸濁液でも,ウェルやシリンジを使わずに流路内に導入できることを示した.当初は,懸濁液を流路の片側の蠕動運動で急速に吸入し,もう片側にノズル・ディフューザ構造をつくることで流れを減衰させることを検討したが,特にノズル・ディフューザーザ構造をつくらずとも,流路の幅の変化(流体抵抗の変化)とその変化速度の調節だけでローカルな流速が変化し,細胞の沈降を促進したり抑止することが可能であった. 3 細胞の培養・継代実験 本デバイスを細胞に培養するにあたって,培地が流路壁面の間隙を伝わって外部に漏れ出るルートを閉塞しないと,細胞培養に必要な浸透圧が得られないことが判明した.閉塞の方法については,現在,検討を終え予備実験中であるが,今後の課題である.
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