研究概要 |
本研究は,過去の100kmマラソンのレース結果を元にレースペースの類型化を行い,高いパフォーマンス発揮につながるレースペースパターンを明らかにすることを目的とした.さらに,100kmマラソン走行中の血糖変動を連続的に測定し,レースペース変動との関係を明らかにすることを目的とした.その結果,100kmマラソンレースを7時間以内でゴールする一流ウルトラマラソンランナーは100kmマラソンレース中の走速度変動を小さく抑えて走行していることが明らかとなった.また,9時間以降にゴールするランナーは50km以降に急激に速度が低下する特徴が示された.さらに,7時間以内でゴールしたランナーは,9時間でゴールしたランナーと比較して,レース中のエネルギー摂取量が少ないものの,血糖低下率は小さいことが明らかとなった.このことより,100kmマラソンにおいてトップパフォーマンスを達成するためには,レースペース変動を小さくすることが重要であり,レースペース変動の抑制には,エネルギー摂取量の多少に関わらず血糖値の低下を防ぐ能力および効果的なエネルギー補給のタイミングが関与している可能性が示された.
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