研究課題
若手研究(B)
本研究は、生まれつき自発運動への欲求が正常Wistarラットよりも強い自然発症の高運動性モデルラットSPORTS(Spontaneousy Running Tokushjma-Shikoku ; Wistar系)を実験のツールとして用いて、運動意欲の制御に関わる脳内分子基盤の解明を目指すと同時に、心臓自律神経活動への影響を解析することにより、神経性因子を介した自発運動の制御と心機能の連関作用を生理学的に実証することを目的とした。申請者は、これまで脳内モノアミン酸化酵素A(MAOA)の活性低下がラットの自発運動を誘発していることを明らかにしてきた(Morishima et al., Neuropsychopharmacology 2006)。本研究では、安全で有益な運動不足解消法の開発の為に、運動負荷を行う上で心機能の重要なパラメータである心臓自律神経活動の評価を縦列して行う実験系を確立し、脳内モノアミンと心機能解析を同時に行った。その結果、SPORTSラットは安静時において早い心拍を示すが自発運動時には心臓交感神経活動(L/H比)を極度に高めないことを見出した。さらに、対照ラットにモノアミン酸化酵素A(MAOA)阻害薬を投与し脳海馬モノアミン量を定量したところ、SPORTSラットと同程度に海馬ノルエピネフリン放出量が増加し、自発運動量や心拍数の増加が認められた。また、心拍変動解析の結果、MAOA阻害薬投与ラットでは、SPORTSラットと同様に心拍数の増加の認められた夜間活動時間帯で交感神経活動指標であるL/H比が有意に上昇していたが、自発運動により是正されることが判明した。本事業により、自発運動を引き起こす因子(脳内ノルエピネフリン)が生体にとって質的良好な運動基盤分子である可能性が示唆された。本研究の成果は、運動療法を必要とする心疾患患者だけでなく健康な個人に対しても、運動の効果を最大限に発揮できるシステムの開発に貢献することが期待される。
すべて 2011 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 備考 (4件)
J Arrhythmia
巻: 26 ページ: 111-118
Journal of Arrhythmia
Journal of Arrhythmia (掲載確定)(未定)
SPORTS Obesity
巻: 18 ページ: 48-54
Eur J Pharmacol
巻: 609(1-3) ページ: 105-12
Endocrinology
巻: 150(2) ページ: 879-888
Br J Pharmacol
巻: 157(3) ページ: 404-14
European Journal of Pharmacology 609(1-3)
ページ: 105-112
http://www.med.oita-u.ac.jp/pathophysiology/
http://www.med.oita-u.ac.jp/pathophysiology