研究課題
若手研究(B)
運動は筋インスリン感受性を亢進することで、メタボリックシンドロームや2型糖尿病の予防・治療に極めて有効であるが、その分子メカニズムは明らかにされていない。我々は、運動により骨格筋内の抗炎症性マクロファージであるM2マクロファージ数が増加し、これにより、筋インスリン感受性の亢進が起こっていると仮説した。C57BL6Jマウスに一過的トレッドミル走を施すと、骨格筋内のM2マクロファージ数は増加し、これに伴い筋インスリン感受性の亢進も認められた。しかしながら、運動前に全身のマクロファージを枯渇させる薬剤であるクロドロネートリポソームを投与すると、運動後に認められたM2マクロファージ数の増加、筋インスリン感受性亢進の両方が起こらなかった。このとき、いくつかのシグナル伝達経路の活性化を検討したところ、インスリンシグナル(Akt-AS160)やAMPK経路は運動やクロドロネートリポソームによる変化は認められず、PKC経路が運動により活性化されており、この活性化はクロドロネートリポソームにより抑制された。これらのことから、運動による筋インスリン感受性亢進は、M2マクロファージがPKC経路を介して引き起こしていることが示唆された。
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