研究課題/領域番号 |
21710253
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石井 弓 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特任講師 (50466819)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2011年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2010年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2009年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 日中戦争 / 記憶 / オーラル・ヒストリー / コミュニティー / 戦争記憶 / オーラルヒストリー / 中国農村研究 / 日中戦争研究 / 中国農村調査 / 中国農村演劇 / 戦争 / 中国現代史 / 抗日戦争 |
研究概要 |
本研究の目的は、中国人の戦争記憶が、多様な社会的人為的チャネルを経由して、現在を生きる人々の意識に刻み込まれ記憶として形成される過程を検証し、また如何なる形で保持されているのかを明らかにすることである。 研究手法として、日中戦争の最前線である山西省農村部で広範なフィールド・ワークを行い、195名の農民に戦争の記憶を聞き取った。その中で、農民たちが口頭で歌い継ぐ「順口溜」(出来事についての簡素で短い歌)を研究対象として取り上げ、収集した。日中戦争を歌った「順口溜」を分析することで、村に生きる人々が共有してきた戦争の語りや歌い込まれた感情を論じることに成功し、また、「順口溜」の共有範囲から、現在の交通網からは乖離した「お喋りのコミュニティー」を抽出した。山西省農村において記憶は、人々の往来する地域でお喋りを介して共有されており、その範囲は近代以前から続くコミュニティーであることが分かった。この成果については、2011年日本現代中国学会(第61回全国学術大会)で、「「順口溜」から読み解く抗日戦争の記憶」として発表すると共に、博士論文「記憶としての日中戦争-インタビューによる他者理解の可能性」の一部として執筆した。 「順口溜」の共有範囲は、中華人民共和国以前の雨乞い祭祀活動の範囲と重なっている。また、地域で行われる伝統演劇の上演は、抗日戦争の情報を交換すると共に、伝統演劇の中の多様な世界観や歌のフレーズが、「順口溜」の歌詞や記憶にも影響を与えている。ここから、雨乞いの活動や伝統劇と集合的記憶との関連性を考察することが、今後の研究課題として浮き彫りになった。
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