研究課題
若手研究(B)
イスラームの宗教寄進制度(ワクフ)は、前近代のイスラーム世界各地で広く普及したが、その理由としては、それが信仰心や利他的な善意のみに支えられた単純な「慈善行為」ではなく、寄進者たちにとってそれを通じて獲得できる、より現実的・利己的な動機があった。本研究では、現存するオリジナルの寄進文書を主な史料として用いて、ワクフ制度が中世アラブ社会で果たしていた多面的複合的な機能を明らかにするとともに、それが寄進者たちの個人的社会的状況に応じて戦略的選択的に利用されていたことを明らかにした。
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