研究課題
若手研究(B)
本年度は当研究計画の最終年度であり、その成果のとりまとめと公表に重点を置いた。具体的には、当研究の成果も盛り込んで執筆した、ロシア・ムスリム史の一般向け概説『共生のイスラーム:ロシアの正教徒とムスリム』(ブックレット「イスラームを知る」シリーズ、山川出版社)が7月末に出版された。本書はロシア・ムスリムのうち、特にタタール人の歴史をロシア人との共生という視点から述べたものであり、ムスリムとキリスト教徒との500年近くにわたる共生の事例を広く紹介することを試みた。また、論文集『ユーラシア世界越境と変容の場第3巻記憶とユートピア』(東京大学出版会>に掲載予定の論文「ポーランド=リトアニア・タタール人のイスラームの記憶」を8月に脱稿した。この論文では、ポーランド=リトアニア・タタール人とオスマン帝国との関係を軸に、彼らがキリスト教徒の間でいかにイスラームを維持したのかを明らかにした。特に、17世紀末に彼らが集団でオスマン帝国に亡命した事件に注目した。本論文により、タタール人ネットワークの西端における状況をある程度解明できたと考えている。諸資料の収集と整理については、資料のデジタル画像化を、ドキュメントスキャナーを使って自ら行うとともに、作業の外注もして、多くの資料をデジタル化することができた。今後、タタール商人の研究をさらに大きなユーラシアの商業という枠組みで共同研究として行う際には、このデジタル化作業によって資料の共同利用が容易にできるだろう。
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Hamamoto, N.Naganawa, D.Usmanova (eds.) Volgo-Ural'skii region v imperskom prostranstve. XVIII-XX vv., Moskva.
ページ: 39-58
Nauchnyi Tatarstan
巻: No.2 ページ: 213-223
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/tokyo-ias/monka/report/2009/hamamoto/index.htm