研究概要 |
本研究においては,わが国の民法上,相殺は,二当事者間のみならず,三当事者間においても同様に行いうることを明らかにした。さらには,フランスにおける学説の検討を通じ,三者以上の多数当事者間相殺もまた「相殺」として有効であることを示した。そこにおいて,相殺は,その相殺に加わる当事者が三人以上の多数であれ,当事者が債務を負担し合う状況にあることから,債権と債務の差額を弁済するのみで,債権関係を簡易に決済する手段となる。また,第三者に対する関係においては,「債務間の牽連性」がその担保的機能を導くものと考えられる。
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