研究概要 |
本研究では,解決志向アプローチにおけるミラクル・クエスチョン,例外探しの質問,コーピング・クエスチョン,スケーリング・クエスチョンを効果的に用いるためのポイント,および面接における効果的な話題の展開の仕方を明らかにすることを目的とした。これらの目的を達成するために, 2つの研究が行われた。まず,日本人セラピストへの面接調査を通して得られたデータがKJ法によって分析された。主な結果は以下の通りであった。(1)セラピストは,ミラクル・クエスチョンの前に準備を行わなければならない。それらには,クライエントの状態をミラクル・クエスチョンが受け入れやすくなるようにさせること,ミラクル・クエスチョンが特定のクライエントに使用可能かどうかをクライエントの状態をもとに判断することなどが含まれる。(2)例外探しの質問の後に,クライエントが例外を成功体験として認識することを,セラピストは待たなければならない。もしクライエントが例外の重要性を否定したら,その例外を強調するのを避けなければならない。次に, SFAのマスターセラピストによる面接が談話分析によって検討された。主な結果は以下の通りであった。(1)面接においてセラピストが,クライエントの問題に関する話題から解決に関する話題に転換しようとすると,クライエントはそれを受け入れず,問題に関する話題を開始するというパターンが繰り返し見られた。(2)そのような場合,セラピストは解決に関する話題にすぐには戻さず,問題に関する話題を聞いた上で,質問を用いて解決に関する話題に戻すことが示された。
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