研究概要 |
本研究では, 2007 年度以降の学区制の緩和による影響に焦点を当て,教育の公正を制度的にどのように保障するか考究する。ここではこれまで国内において充分に紹介されることの少なかった教育統計を活用し,統計から読みとれる学校教育と郊外都市の実態,社会病理,中・長期的な都市政策の欠陥などについて分析を行った。また研究者を招聘し,研究成果の一部をフランス教育学会の研究懇話会にて公開し,すでにフランス教育省が行っている質的調査の動向を紹介しながら,その論争点を明らかにした。その結果,学区制の緩和政策による階層間格差を縮小することはなく,むしろ拡大すらみられることが明らかとなった。研究成果は,日本社会学会等で発表を行い,勁草書房より『学校選択のパラドックス』,2012 年を刊行した。
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