研究概要 |
ユークリッド空間の埋め込みで、無限遠では標準的な包含写像に一致するもののなす空間の位相幾何学的な性質について研究を進めた.当該年度に得られた成果は以下の三つである. 1.これまで1次元空間の埋め込みについて知られていたグラフ複体と配置空間積分の枠組みを一般の次元に拡張する試みを行い,多くの次元について,この方法でコホモロジー類を得られることを示した.3次元空間の6次元空間への埋め込みの場合はこれには含まれないが,ある補正を施せばコホモロジー類が得られること,またそれはHaefligerによる埋め込み不変量の再定式化,一般化になっていることを示した.この成果を論文にまとめ,専門雑誌に掲載が決定した. 2.渡邉忠之氏(北海道大学)と共同で,1.の場合に含まれない次元についても,三価グラフに制限すれば,(上記とは別の)補正を施すことによりコホロモジー類を構成できることを示した.ここで得られるコホモロジー類は,従来知られていたものよりも次数の高いものである. 3.1次元空間から(5以上の)奇数次元空間の埋め込みについて,研究代表者は過去に三価でないグラフを使って得られるコホモロジー類の最初の例を構成していた.3次元空間への埋め込みの場合は,ある障害のために除外されていた.しかしその障害が実際には消滅することを示し,3次元空間への埋め込みの場合についても従来知られていなかったコホモロジー類が得られていることを示した.
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