研究課題
若手研究(B)
メゾスコピック超伝導で興味深い現象の一つに過剰抵抗があります。ディスク形状の微小Al超伝導体では磁場中で巨大な過剰抵抗の発生が知られています。ディスクサイズを系統的に変えながら電気抵抗の詳細な温度-磁場依存性を調べた結果、ディスク形状の微小Al超伝導体の巨大過剰抵抗が現れる領域では渦糸がフロー状態にある可能性が高いことがわかりました。ディスク形状の微小Al超伝導体における渦糸フローに着目し、試料サイズが小さいためこれまでに未解決である微小超伝導体における特異な渦糸フローを観測するため、私は渦糸フローにRF高周波電流を印加する渦糸のフロー制御法から渦糸ダイナミクスの研究を進めました。渦糸フローを生じやすいディスク型微小Al超伝導体の性質を利用することで、メゾスコピック超伝導における渦糸ダイナミクスに関する新たな知見を得ることができました。試料内に存在する単一渦糸を電流駆動させこの渦糸フローをRF高周波電流で共鳴させることで電流電圧特性においてステップ状の電圧が検出されることを発見しました。渦糸ダイナミクスに対する新たなアプローチである上記測定手法により、微小超伝導体における特異な渦糸ダイナミクスの観測に世界で初めて成功しました。微小超伝導体で支配的な表面-渦糸間相互作用により、試料内に閉じ込められた渦糸が"玉突き"の様に押し出され、試料内の渦糸の数に関わらず常に単一渦糸が試料内を出入りする特異な渦糸ダイナミクスの観測に初めて成功しました。
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Physical Review B
巻: 81
Journal of Physics : Conference Series 150
ページ: 1-4