配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2011年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2009年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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研究概要 |
バルク中に存在する溶媒和電子のモデルとして,水クラスターアニオンが研究されてきた。過剰電子と水クラスターの結合は一般に非常に弱いため,水分子に捉えられた過剰電子は,通常の電子とは異なり,クラスター表面に大きく広がっている。本年は第一原理分子動力学(MD)計算により,その生成機構を研究した。この方法は,水クラスターと電子の相互作用を精密に計算し,同時にクラスターが熱で揺らぐ動的な効果を考慮することができ,この分野で我々は世界の最先端をリードしている。水6量体には2種類の異性体が存在することがX線光電子分光により示唆されているが,その分子構造はこれまで分からなかった。本研究では,中性の水6量体に電子を付加し,時間発展させることで,アニオンクラスターの構造を明らかにした。この成果は現在執筆中である。また,ニトロメタンと水クラスターのアニオンに対する量子化学計算を実行した。このアニオンクラスターは,電子がニトロメタンの価電子軌道に入るvalenceタイプと水分子に捕まえられた過剰電子タイプが実験的に示唆されている。本研究では量子化学計算により,2種類のアニオンの構造や安定性を求めた。また,ベンゼンが水6量体に付加することで,2つの異性体の安定性が逆転する,という結果が最近の実験で報告された。ベンゼンは水分子とOH-II結合を生成するが,これが水分子の水素結合ネットワークにどのように影響を及ぼし,それによってなぜ安定性が逆転するのか,非常に興味深い問題である。その原因を探るべく量子化学計算を開始した。
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