研究概要 |
水よりも密度が小さい有機溶剤はLNAPL(Light Non-Aqueous Phase Liquid)が,地下水面の上部に滞留し,地下水の動きに影響されながら汚染域を拡大する問題が顕在化してきた.汚染過程においてLNAPLが不飽和帯にどのように浸透し,また浄化過程においてどの程度浄化され,そして残留するのかを把握することは重要課題であり,模型実験による可視化や数値解析による現象解明の研究が進められている。本研究では,まずLNAPLの地盤汚染機構を解明することを目的として,LNAPLの三次元浸透挙動X 線CT を用いて非破壊で可視化し,その定量的評価を試みた。本研究では,X線CT撮影によってCT 値を求める一方で,X線CT撮影後に地盤内のLNAPL飽和度の測定を行い,CT値とLNAPL飽和度の関係を求めた。それにより,X線CT画像上のCT値の分布からLNAPL飽和度の分布を求めることを可能とした。その結果,地盤内でのLNAPLの浸透挙動は水飽和度の影響を受け,特に水飽和度20%以上の深さへの浸透は抑制され,水飽和度が小さい地盤浅部で水平方向への浸透が発達することが分かった。また,高飽和度のLNAPLの浸透領域も地盤浅部に形成されることが分かった。
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