配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2009年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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研究概要 |
森林の歴史的変遷を考察するためには,そこに住む複数の動植物についてDNAレベルの遺伝的変異の地理的パターンを比較するといったアプローチが必要である。本研究では,日本の照葉樹林の中でも異なる分布変遷を経てきたと考えられるシイ林とカシ林の優占樹種およびそれに種特異的に寄生する複数の植食性昆虫に注目し,植物と昆虫両者を含めた系としてのシイ林およびカシ林の分布変遷の比較・解明を目標とする。平成21年度に行った研究および得られた成果は以下である。 1. シイ林優占樹種シイのDNA多型の地理的分布パターンの解析 日本のシイ林1地点から約20個体のシイの葉を採集し,ESTに由来するマイクロサテライト多型の地理的構造をみた結果,コジイ・スダジイともに遺伝的分化の境界は,琉球地域および中国・四国地域にみられた。 2. シイに付く植食性昆虫類における種内のmtDNA多型の解析 シイの新葉に潜葉するヒラセノミゾウムシのミトコンドリアDNA多型の集団解析を行った。その結果,シイの実に特異的に付くシイシギゾウムシと同様,中国・四国地域にハプロタイプの分布境界がみられた。このことからシイとそれに種特異的に付くゾウムシ2種は氷期の気候変動の影響を同じように受け,ある程度共通した分布変遷をたどってきた可能性が高いことが示唆された。 3. カシ林優占樹種の種内のcpDNA・EST-SSR多型の解析およびそれに付く植食性昆虫類における種内のmtDNA多型の解析 カシ林優占樹種イチイガシ,ウラジロガシ,アカガシおよびその新葉に付く潜葉性昆虫について,日本のカシ林でサンプリングを行い,種内の遺伝的変異についてスクリーニングを行っているところである。
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