研究概要 |
本研究では,出芽酵母におけるスフィンゴ糖脂質(GSL)の意義を明らかにするために,GSL組成を改変した酵母に蛍光タンパク質(enhanced green fluorescent protein,EGFP)を融合した細胞膜タンパク質,Hxt1-EGFPを発現させ,fluorescence recovery after photobleaching (FRAP)解析を行った.FRAP解析とは,特定の蛍光領域に強い励起光を照射することで,蛍光を不可逆的に退色させた後,その周辺部からの蛍光の流入を観察し,蛍光分子の動く速度及び割合を求める実験である.この解析により,スフィンゴ糖脂質の糖鎖部分の伸長と脂質部分への水酸化(特にスフィンゴイド塩基の4位)の両方が欠失した変異体(Δsur2Δcsg1Δcsh1変異体)において,Hxt1-EGFPの動く分子の割合と速度を著しく低下させることを明らかになった.つまり,この結果は,スフィンゴ糖脂質の糖鎖部分と水酸基部分が,細胞膜タンパク質の側方拡散の維持に必須であることを示している.
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