研究概要 |
イネ3品種(アケノホシ,白紅屋およKasalath)の葉身からのアンモニア放出速度を開放型同化箱を用いて測定した。アンモニア放出速度および葉身アンモニウム含量は施用窒素量の減少に伴い低下した。しかし,供試した3品種間で差が認められた。アンモニア放出速度,葉身のアンモニウムイオン含量およびグルタミン合成酵素は類似した傾向を示し,日中に最大値を示した。アケノホシはKasalathと比べてアンモニア放出速度とアンモニウムイオン含量は低かったものの,グルタミン合成酵素活性は高かった。 アンモニア放出速度は酸素濃度の増加に伴い増加した。このことより,光呼吸の促進により総光合成速度が減少したことが関係しており,蒸散速度および気孔伝導度の影響は小さいことが示唆された。アケノホシおよびKasalathにおいて,アンモニア放出速度と光呼吸速度との間に有意な正の相関関係が認められた。また,アンモニア放出速度,総光合成速度,蒸散速度および気孔伝導度は光強度の増加とともに上昇した.これに対し,葉温の上昇はアンモニア放出速度および蒸散速度を上昇させたものの,走行ご末井速度および気孔伝導度は減少させた。Kasalathは強光,高葉温および高酸素濃度条件においてアケノホシよりも高いアンモニア放出速度を示した。これらの結果から光呼吸がイネ葉からのアンモニア放出に強く関係しており,アンモニア放出速度の品種間差は光呼吸におけるアンモニアの再同化の能力に関係しているグルタミン合成酵素活性に大きく影響を受けていること,および蒸散速度ならびに気孔伝導度にあまり影響を受けていないことが明らかとなった。
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