研究概要 |
本研究では,房総半島南東部にある東京大学千葉演習林における110年生二次林を対象に,488本の立木の樹齢構成を明らかにするとともに,それら樹齢データを利用して寿命分布を推定し,伐採可能木を予測した。計測に使用した機械はリンテック社製レジストグラフである。解析の結果,進界後の樹齢分布は全立木でみると若齢木の豊富な指数型であったが,樹種別にみると指数型と単峰型に分かれた。また全立木の樹齢の平均は31年,標準偏差は26年で,寿命の平均は108年,標準偏差は180年であった。平均樹齢が平均寿命より大幅に小さいことから,当該林分は遷移段階の途上で極相状態に達するには時間を要すると推察され,同時に,推定した寿命分布は安定したものでなく,樹齢構成の推移とともに変動すると推察された。また現状の寿命分布が今後10年間は変動しないと仮定した場合に予測された71本の枯死木のうち,たとえば樹齢が50年以上の8本の立木は伐採可能と判断された。なお現場で実際に伐採木を選木する際には,樹齢の情報を胸高直径の情報に変換することが有効と考えられる。以上,本研究により樹齢情報を利用した新たな天然林管理の可能性が示された。
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