配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2010年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2009年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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研究概要 |
哺乳類の受精時にはCa^<2+>オシレーションが誘起され,その結果卵は活性化され減数分裂を再開する.現在までに我々は,マウス卵を用いてイノシトール3リン酸受容体タイプ1(IP3R1)が減数分裂の進行に伴いリン酸化されること,卵活性化後に急激に脱リン酸化されることを明らかにした(Lee et al., 2006 Development ; Ito et al., 2008 Dev. Biol).しかし他動物種,特に卵細胞質内精子注入を行った際,卵活性化の誘起が困難なブタにおけるCa^<2+>オシレーション誘起に関する機構は全く明らかにされていない.はじめに卵の減数分裂時に起こるIP3R1の動態に関して,ブタ卵を用いて検討を行った.その結果,ブタ卵のリン酸化IP3R1量は培養開始24時間後に急激に増加し,36時間後には最大値に到達した.また,この時期にはp34cdc2 kinaseおよびmitogen-activated protein kinase活性の上昇も認められた.一方成熟卵をMAPK抑制剤U0126で処理しても,リン酸化IP3R1量は変化しなかったが,p34^<cdc2> kinase抑制剤roscovitineで処理するとリン酸化IP3R1量は著しく減少した.以上のことから,ブタ卵においてもIP_3R1のリン酸化が起こることが明らかにされた.またそのリン酸化にはp34^<cdc2> kinase活性が関与している可能性が示唆された. さらに,ブタ卵を体外で成熟培養を行い,培養0時間,11時間,22時間,33時間および44時間でそれぞれ卵を回収し,免疫蛍光染色に供した.その結果,培養0時間の卵では細胞質全体に不均一なIP_3R1の発現が認められ,減数分裂の進行に伴って細胞質に均一なIP_3R1の分布が認められるようになった.さらに培養44時間の卵では,細胞膜にクラスター様のIP3R1の蓄積が認められた.体内由来のMII卵においても,同様の傾向が認められた.以上のことから,ブタ卵において卵の成熟(減数分裂の進行)にともなってIP_3R1の局在は変化することが明らかとなった.また各kinase抑制剤処理によりIP_3R1の局在は変化したことから,IP_3R1の局在はkinaseにより制御されていると考えられた.
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