研究概要 |
1. 第4集団の追跡調査、症例検討、データセットの整備 2002年に福岡県久山町の循環器健診を受診し、遺伝子解析研究への参加同意を得た40歳以上の住民3,196名(第4集団)を対象とした。この集団の追跡調査の一環として本年度は循環器健診を実施し、脳卒中発症のスクリーニング調査を行った。また、健診未受診者および町外転出者に対してはアンケート調査、電話調査、訪問調査を実施した。これらの調査を通じて脳卒中発症および死亡が疑われた症例に対しては、研究代表者を含む九州大学大学院医学研究員環境医学の所属医師による詳細な症例検討を実施し、脳卒中の診断および分類を行った。その結果、2002年から2007年までの5年間に46名の脳梗塞の新規発症を確認した。この追跡調査の結果をもとに統計解析用のコンピュータ・データベースを整備した。 2. 遺伝子多型のタイピングおよび統計解析 上記の3,196名を対象に、研究代表者が過去に同定した脳梗塞関連遺伝子PRKCHのVal374Ile多型(rs2230500)およびとAGTRL1の-154G/A多型(rs9943582)のタイピングを行い、結果を統計解析用のコンピュータに登録した。さらに、これらの遺伝子多型と脳梗塞の主要危険因子との関連を検討した。PRKCH rs2230500と高血圧,糖尿病,脂質異常症,肥満との間には明らかな関連はなかったが、脂質異常症治療者を除いた解析では,rs2230500とHDLコレステロールおよびLDLコレステロールとの間に相関が見られた.一方,AGTRL1 rs9943582と高血圧,糖尿病,脂質異常症,肥満との間に,明らかな関連はなかった.
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