研究課題
若手研究(B)
有機リン系殺虫剤(OP)およびピレスロイド系殺虫剤(PYR)曝露レベルの評価には尿中に排泄されるそれぞれの代謝物測定が最近汎用されている。本研究ではこのバイオマーカーの臨床応用するにあたり、いまだ明らかになっていない特長を新たに見出した。実験動物レベルでは、1)OPとPYRの同時曝露では、OPがPYRの加水分解を阻害することによりPYR由来の尿中代謝物3フェノキシ安息香酸(3PBA)の排泄量が低下すること、2)PYR代謝物類の排泄速度はオスに比べてメスの方が速く、これには代謝酵素の一つであるUDPグルクロン酸転移酵素(UGT)のサブタイプ1A6および2B1の発現性差が関与していることを明らかとした。ヒトを対象とした研究として、一般健常人、農業従事者および殺虫剤撒布作業者をリクルートし、それぞれの尿中OP代謝物であるジアルキルリン酸類を網羅的に測定した。その結果、1)夏における一般健常人146名(うち女性18名)の測定値(幾何平均値)はジメチルリン酸7.0、ジメチルチオリン酸3.4、ジエチルリン酸0.8およびジエチルチオリン酸0.3・g/g creatinineであった。このうち、ジメチルリン酸およびジエチルリン酸の測定値は夏に比べて冬で有意に低い値を示した。すなわち、尿中OP代謝物量には季節差があり、OP曝露の季節変動がある可能性を示唆することができた。2)これらの測定値を既報と比較した場合、日本人のOP代謝物排泄量はアメリカ、中国およびドイツ人の排泄量と同等かそれ以下であることを初めて明らかとした。今後は化学物質曝露の影響を受けやすい新生児や小児を対象としてOP代謝物のモニタリングを行い、健康影響との関連も明らかにする予定である。
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