研究概要 |
法昆虫学による死後経過時間推定の精度向上のために,着衣ブタ屍をヒト代替モデルとして屋外に留置し,死体昆虫相およびブタ屍の腐敗分解過程に伴う昆虫相遷移を経時的に観察した。温暖期の第1入植種はヒロズキンバエであり,留置後20時間以内にブタ屍に産卵(入植)した。鞘翅目4種,双翅目5種が採集されたが,捕食性昆虫はオオハネカクシのみであり,留置7日程度で双翅目幼虫により軟部組織はほぼ蚕食された。寒冷・温暖境界期の第1入植種はオオクロバエあるいはフタオクロバエであった。晩秋・早春とも死体昆虫相およびブタ屍の腐敗分解過程は類似していたが,双翅目蛹および囲蛹殻の存在,鞘翅目の活動に相違がみられた。
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