研究概要 |
重症度の異なる4群の出血性ショックモデルを作製し,同ショック時の肺障害の重症度と好中球の出現頻度との関係について検討を行った。出血後,炎症性サイトカインである tumor- necrosis factor(TNF)-αおよびinterleukin(IL)-1βのmRNAの肺実質における発現および肺静脈血中濃度が出血量の増加に応じて強く上昇し,出血5時間後の肺実質における好中球の出現頻度も増加した。また,機能的肺障害を反映するpartial pressure of arterial oxygen (PaO_2)およびalveolar-arterial oxygen tension difference (A-aDO_2)は出血量に応じて増悪し,器質的肺障害を反映する血清lactic dehydrogenase-3 isozyme (LDH-3)濃度は出血量の増加に応じて上昇した。出血5時間後では好中球の出現頻度と血清LDH-3濃度とに正の相関関係が認められ,出血性ショック後の肺障害の重症度と好中球の出現頻度との関連性を明らかにすることができ,出血量の増加に応じた炎症性サイトカインの上昇が一連の病態に関与することが明らかとなった。
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