配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2011年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2009年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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研究概要 |
胆道癌は根治の難しい予後不良な癌であり,遺伝子治療などの新規治療法の開発が望まれる。我々は,Z33ファイバー改変型アデノウイルスを用いた胆道癌に対する分子標的化遺伝子化学療法の開発を行った。まず,分子標的抗体を選定するために,複数の胆道癌細胞株の表面抗原をFACSで検証し,EGFRとEpCAMが胆道癌で多く発現していることを確認した。Z33ファイバー改変型アデノウイルスにEGFRおよびEpCAM抗体を結合させて遺伝子発現を見たところ,アデノウイルスレセプター(CAR)の発現に関わらず,胆道癌細胞株で遺伝子の発現を認めた一方,HeLa細胞や正常肝細胞においては認めなかった。次に,EGFR,EpCAM抗体を結合させたUPRT搭載Z33ファイバー改変型アデノウイルスを各種胆道癌細胞に感染させ,5FUを投与したところ,胆道癌細胞株で良好な殺細胞効果を認めた一方で,正常肝細胞に対しては安全性を示した。ヌードマウスを用いた胆道癌皮下移植モデルでの抗腫瘍効果を検証したところ,EGFRまたはEpCAM抗体を結合させたUPRT搭載Z33ファイバー改変型アデノウイルス感染後に5FUを投与した群は,コントロール群に比べ著明な抗腫瘍効果(p<0.01)を認めた。 本研究は,ファイバー改変型組換えアデノウイルスと分子標的抗体を用いることにより,正常細胞に対する安全性を確保しつつ癌に対する最大の治療効果を得る「腫瘍に標的化した遺伝子治療」が可能となり,従来,問題となっていた「腫瘍選択性」を飛躍的に向上した画期的な治療法である。また,抗癌剤治療や分子標的薬治療に遺伝子治療を併用することにより,治療成績のさらなる向上に繋がると考えられ,今後の臨床応用が期待される。
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