研究課題
若手研究(B)
慢性肝障害の病態は、持続的な肝細胞死と炎症、その後に生じる肝再生ならびに肝線維化によって特徴づけられる。Kupffer細胞は種々の肝障害に対し促進および抑制的に作用するという両者の報告が存在する。部分的胆管結紮術により肝左葉に肝障害、肝再生、および肝線維化の増強と肝細胞の抗アポトーシス状態が誘導さるが、Kupffer細胞の消去により、胆管結紮による肝障害は増強した。一方、肝再生および肝線維化は減弱した。また、肝細胞の抗アポトーシス状態は低下した。Kupffer細胞を酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損細胞に置き換えたマウスでは、胆管結紮術後の肝再生誘導と肝細胞の抗アポトーシス状態獲得が減弱したが、肝障害と肝線維化に差は認められなかった。非活性型AKTの強制発現は、胆管結紮術後の肝再生と肝細胞の抗アポトーシス状態を減弱した。以上より、Kupffer細胞は、胆管結紮による肝障害を抑制し、残存する肝細胞に対して抗アポトーシス状態を獲得させ、その後の肝再生および肝線維化を促進する働きがある。
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