配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2011年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2010年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2009年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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研究概要 |
全国4施設で遺伝子変異の同定された603症例の先天性QT延長症候群(発端者310症例、家族293症例)を単変異568例と複数変異35例に分類し、臨床像を比較検討した。310症例の遺伝子診断された発端者のうち、26例(8.4%)が複数変異例であった。全603例の解析において、QTc間隔は複数変異症例で有意に延長しており(複数変異例vs.単変異例;510±56 vs.478±53ms, P=0.001)、シュワルツスコアも高値であった(複数変異例vs.単変異例;4.2±2.1 vs 3.4±1.9, P=0.017)。またKaplan-Meier法による心イベントの発生率も複数変異例で有意に高率であった(log-rank test, P=0.004)。特にLQT1, LQT2の遺伝型に関係した複数変異例は、それぞれの単変異例より心イベントの発生率が高率であった(log-rank test, P=0.001 and P=0.035)。複数変異例の家系内に存在する単変異症例のうち、有症状者は6%のみであり、QTc間隔も442ms±30msと軽度の延長を認めるのみで複数変異例より軽微な延長であった(P<0.001)。先天性QT延長症候群における複数変異例の臨床病態は単変異症例と比較して重篤である一方で、家系内の単変異例は心電図所見を含む臨床像が軽微であり、潜在性QT延長症候群の1群と考えられた。以上のことから、複数変異を同定した家族においては、臨床情報だけでは変異症例を見落とす可能性があり、積極的に遺伝子スクリーニングを行い不整脈予防に努めることが重要であると考えられた。本研究結果は米国不整脈学会誌Heart Rhythm誌に報告した。また昨年の実績報告書に記載した薬剤性QT延長症候群の報告が日本心電図学会最優秀賞に選ばれた。
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