研究概要 |
申請者はこれまで微小残存白血病マウスに対して熱ショックタンパク(Heat shock protein : HSP)を用いて細胞性免疫および液性免疫の増強の観点から新規白血病治療の開発を精力的に行い有効性を実験的に実証してきた(Sato K, Shindo M, et al.Blood.2001 ; Iuchi Y,, Shindo M, et al.Int J Hematol.2006 ; Jimbo J, Shindo M et al.Cancer Sci.2008)。しかし、臨床では治療抵抗性で腫瘍量が増大した白血病患者は多数存在し、このような症例に対する有効な治療法の開発が望まれていた。一方、白血病においては、頂点に位置するごく少数の白血病幹細胞(Leukemic stem cells : LSC)のみが強い自己複製能と白血病形成能を有し、かつ既存治療法に耐性であることが明らかとなってきている。よって、我々のHSPの基盤技術を応用し、LSCを標的とした新規性の高い免疫療法の開発、具体的には白血病患者より分離したLSCを不死化・増殖させ、そこから得られたHSPを用いて効率よく抗白血病免疫の誘導を試みる革新的治療法の開発を目指す。H21年度には、まずteromerase reverse transcriptase遺伝子(hTERT : 2909-6362)を含むプラスミドベクターを作成した。現在これを患者由来の白血病細胞を含めた各種腫瘍細胞に導入を試み、またコントロールに比較して形質の大きな変化がいかどうかも検索している。患者白血病細胞を、セルソーターを用いてSP分画にソーティングし、白血病幹細胞としてのマーカーを示しうるか、またMHC class-1,IIの発現やHSP70の発現、さらには薬剤耐性を示すかどうか(P-糖蛋白の発現上昇があるかどうかなど)も検討中である。またAUTO-MACSを用いてCD34+CD38-分画を分離できるかどうか現在検討中である。
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