研究概要 |
先天性尿細管チャネル・輸送体異常症として発症頻度の高い、Bartter症候群、Gitelman症候群、偽性低アルドステロン症に関する最新の解析技術を用い、良好な結果を得たので報告を行った。 1, Bartter症候群・Gitelman症候群:それぞれの病気において、遺伝子解析における変異検出率は決して高くないことが知られているが、私たちは、従来のゲノムDNAからのPCRおよび直接シークエンス法に加え、尿中落下細胞から抽出したmRNAを用いたRT-PCR法やPCR半定量による広範囲ヘテロ接合体欠失の同定など、最新の遺伝子解析技術を駆使することで、その変異検出率を大幅に向上させることに成功した(Nozu Pediat Research 2009, Nozu Hum Genet 2009)。 2, 偽性低アルドステロン症:同疾患は新生児期に高カリウム血症、体重増加不良を認めるものの自然軽快する疾患である。更に本疾患は常染色体優性遺伝形式をとる疾患であるが、その発症機序は変異のあるalleleが産生するタンパクによるdominant negative効果により発症するか、一つのalleleに変異があるためMR受容体産生量が減少することによるhaplo insufficiency効果により発症するのか未だに不明である。私たちは従来の解析方法でMR遺伝子に新規の変異を同定し、さらに尿中落下細胞から抽出したmRNAを用いたsplicing異常の同定により、dominant negative効果により発症する機序が否定できないことを証明した(Kanda, Nozu BMC Nephrol 2009)。
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