研究概要 |
1.動脈採血省略法の頑健性及び可用性の改良 アデノシンA_<2A>受容体のトレーサである[^<11>C]TMSXを用いたPET撮影データに対して,動脈採血省略法を適用した.健常者および治療前・治療開始後のパーキンソン病症例について提案法を適用した結果,本トレーサのPETデータについては,患者の状態が動脈波形の推定に影響を与えないことが分かった. 2.代謝物分析の持つ計測誤差が生体機能パラメータの推定に与える影響. 未変化体の割合値の誤差モデルから導出した式を用いて計測精度を算出したところ,2種類の代謝物分析法のうち,column-switching法が,普及しているprotein precipitation法より,2倍の精度(半分の標準偏差値)を持つことが分かった.この精度の違いは生体機能パラメータの推定結果に大きな影響を与える.シミュレーションにおいて,神経受容体結合能を表すパラメータ(BP_<ND>)の高い領域では,推定したBP_<ND>と真値との相対誤差が0-20%に分布するという興味深い結果を得た.血液入力関数の推定法を評価する場合,推定した血液入力関数を用いて計算した生体機能パラメータが,実際に計測した血液入力関数を用いて計算した生体機能パラメータと一致するかどうか調べる,という方法がよく用いられる.しかし,代謝物分析の計測誤差のみによってパラメータの推定値が上記の通り変動することから,この方法だけで入力関数を評価することには問題があると言える.
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