研究概要 |
今回の研究の目的は、胆道癌における浸潤部及び対応する上皮内異型病変を同定し、各種分子マーカーの発現様式をそれぞれコンポーネントに分けて検討することで、発癌・癌進展のメカニズムを解明することである。特に肝細胞増殖因子の受容体(c-Met)に注目し、当科にて検討してきた転移性肝癌あるいは膵癌の進展との比較を行い、広く癌腫の発現、進展様式について考察することを試みてきた。 さて、当科においてこれまでに外科切除した検体における免疫染色を行ったところ、c-Metの発現程度は上皮内病変に比べ浸潤巣では明らかに高く、発癌の過程というより浸潤・進展に重要であることが証明された。また、他の分子因子(Gli-1, beta-catenin, CLDN18)の発現に関し、膵臓癌、IPMN(膵内粘液産生腫瘍)や、前癌病変とされるPanINでの免疫染色が終了しており、現在その意義につき統計解析中である。さらに最近は、他固形癌腫として乳癌の進展に注目し検討を開始している状況である。
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