研究課題
若手研究(B)
我々は、正常膵組織、膵癌、膵癌前駆病変である膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の切除組織を用いて、SA-β-galやSAHF、p16INK4A、p15INK4Bなどのセネセンス関連マーカーの発現を解析した。その結果、セネセンス関連βガラクトシダーゼ活性やセネセンス関連ヘテロクロマチン凝集の形成、p16、p15などのセネセンスマーカーは正常膵管ではほとんど発現しておらず、一方でIPMN with low grade dysplasiaにおいて最も高頻度に発現していることを明らかにした。更に、これらのセネセンスマーカーの発現は悪性化に伴い減少した。これらの結果は、膵発癌過程の初期において強く誘導されるセネセンスが悪性化に伴い損なわれ、セネセンスによる細胞の分裂停止が誘導できなくなることを示している。また、膵液や膵穿刺吸引細胞診検体におけるmicroRNAやmRNAの定量的発現解析の手法を確立し、セネセンスマーカーを含めた様々な癌関連遺伝子の発現を基に、術前あるいは切除不能膵癌患者における個別化治療が実現可能であることを示した。
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