研究課題
若手研究(B)
本研究の研究目的は、臨床検体を用いた研究として、閉経前後の女性の皮下脂肪および内臓脂肪を比較し、PPAR (peroxisome proliferator-activated receptor)γの蛋白および遺伝子発現のパターン等を解析する。次に基礎研究として皮下・内臓脂肪におけるPPARγの発現および活性に対するエストロゲンの関与を明らかにするとともにそのメカニズムを解明することである。現在、産婦人科の開腹手術時に同意の得られた患者157名(有経女性91名、閉経後女性66名)から皮下・大網脂肪を採取し、これらの女性の臨床データとCTによる皮下・内臓脂肪面積のデータを収集した。その結果、有経女性と閉経女性では皮下脂肪量には差がみられなかったが、内臓脂肪量は有意に閉経後女性で多かった。基礎研究としては、皮下脂肪、大網脂肪それぞれにおけるPPARγの活性化の程度をみるためにPPARγの標的遺伝子である11b-HSD1 (Type I 11-beta-hydroxysteroid dehydrogenase 1)の発現をreal time PCRで測定した。その結果、皮下脂肪における発現は有経女性、閉経女性で差がみられなかったが、内臓脂肪における発現は閉経後女性の方が有意に多かった。以上のことから、有経女性と比べて閉経女性では有意に内臓脂肪が増加し、その変化には11b-HSD1およびPPARγの発現・活性化が関与することが示唆された。またこれらの変化をもたらすものとして最も考えられるのは血中エストロゲン濃度が考えられ、今後は皮下・内臓脂肪におけるPPARγの発現および活性に対するエストロゲンの関与を明らかにする研究を行っていく予定である。
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